今回は肩凝りと座っているときの姿勢の関係について説明させていただきます.

 

 

 

いい姿勢って楽な姿勢??

 

 

 

肩凝りや腰痛がある方に姿勢について聞くと大抵の方が,「姿勢は昔からわるいと言われて,自覚もあるんですが,どうすればいいのかわからなくて.」とお話しいただきます.いい姿勢と悪い姿勢はどこが違うか,またいい姿勢と楽な姿勢の違いは何かを説明していきます.

 

 

 

悪い姿勢・いい姿勢の違いはまず脊柱がしっかりとS字に弯曲しているかどうかが重要になってきます.

 

不良姿勢.jpg人の背骨はもともと骨盤が前傾し,腰椎が前彎することでその上にある胸椎や頸椎が正しい位置に来ます.頸椎が正しい位置にあるということはその上にある頭も正しい位置に来ます.これが,最も脊柱や体に負担の少ない姿勢です.しかし,皆さんに楽な姿勢を取ってくださいというと骨盤が後傾し,腰椎が後弯してしまうと重心が後ろに行ってしまうので,頭部を前に出すことでバランスを保とうとする姿勢をとる方がほとんどだと思います.しかし楽な姿勢は,肩凝りやストレートネックを引き起こします.なぜなら頭部は,成人男性で平均して5㎏程度はあると言われています.

 

仕事中こんな姿勢はとっていませんか?

 

 

このように,頭部が前に行けばその分頚部周りの筋肉に負担が増えます.また,仕事をしているとその姿勢を長時間継続することになります.同じ姿勢を長時間とれば,同じ筋肉に常に負担がかかり続け,筋肉自体の圧力も高くなって血流が悪くなります.そうすることで代謝も悪くなり,疲労物質や疼痛誘発物質が流れなくなってしまい痛みを感じたりします.

 

 

 

不良姿勢の影響は首だけではありません.骨盤が後傾し,腰椎が後弯してくれば腰椎を前弯に保つ腸腰筋が持続的に収縮して負荷がかかります.また,身体の前方の筋膜も短縮位に持っていかれるのでその姿勢を長時間続けることで筋膜の柔軟性も損なわれます.腹腔も圧迫され内臓の働きも悪くなってしまい,悪循環が止まりません.

 

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いい姿勢と楽な姿勢は違うの?

 

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一見すると不良姿勢は脱力できていてとれも楽に座っているように見えますが,今までの話で身体全体を見たらとても負担がかかっていることがご理解いただけるでしょうか?

 

 

 

例えばいい姿勢というのは,脊柱の彎曲を維持することで体全体を使って100支えるのでそれぞれ各部位にかかる負担は5程度で済んでいます.しかし,悪い姿勢では同じ100を支えるために全く働かない負担が0の部位もあれば,80頑張って支えている部位がある状態です.その為,悪い姿勢ではさぼっている部分が多いので楽に感じますが,局所に過剰な負担がかかってくるため痛みや凝り感・筋膜の歪みが生じやすい姿勢なのです.反対にいい姿勢では,負担が全体にかかってくるのでその姿勢で保持するのが大変に感じますが,体全体を見た時には局所の負担は少なくなってきます.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局肩凝りを軽減するためにはどうすればいいの?

 

 一番手軽にできることはいい姿勢をとる時間を少しでもいいので作っていくことです.これが,一番手軽で大変な肩こり解消法です.

 

 なぜかというと,姿勢は無意識にとっていることが多いからです.その無意識にとっている姿勢が歪みを生み,また痛みの原因であることを上述した内容で少しご理解いただけたでしょうか?

 

 無意識に悪い姿勢をとっている時間を少しでも短くし,意識することで体の負担は軽減されます.いい姿勢をとることで負担がどのように減るかは簡単に体験できます.

 

 

 

  1. 椅子などに座り,猫背で悪い姿勢を取ります.

  2. 肩や首周りの筋肉の硬さを確認します.

  3. 骨盤を立て,腰を思いっきり反る姿勢を作ります.耳と肩と股関節が一直線上にくるようにします.

  4. ②で触った筋肉の硬さを確認します.

 

 

 

①と③の姿勢で筋肉の硬さに変化は感じられたでしょうか?①だと首~肩回りの筋肉が硬く③だと柔らかくなるのを体感していただけたと思います.

 

このように,姿勢によって筋肉の硬さは簡単に変わってしまうのです.①の筋肉が硬い状態で仕事をずっとやれば,その間血流も悪く筋肉はどんどん硬くなり凝り感や痛みを感じ始めます.これを避けるために③のような姿勢を作り筋肉の柔らかい時間を作ることで凝り感や痛みを予防・軽減します.

 

 

自分の力だけでこの姿勢を保持しようとするとなかなか最初は難しいので背中にクッションを入れるなどを用いながら少しずつでもいい姿勢を保つ習慣をつけていきましょう.

 

 

 

注意点:この姿勢を保持することで痛みが増強・または継続する痛みが出るような方は無理に行わないでください.