今回は圧迫骨折について説明させていただきます。今CMで「いつのまにか骨折」など流れており以前より皆さんの身近になった圧迫骨折ですが、なぜ起こるか・どうすれば防げるかなどはあまり説明されていません。なので、今回はなぜ骨折が起こるのか・男性と女性どちらに多く、なぜ差が出るのか・セルフケアについて簡単に説明させていただきます。

 

圧迫骨折ってどこの骨折??

 

圧迫骨折とは脊柱にある椎体といわれる部分急激な外力や長年の姿勢不良などによって特定の部位に圧力が過剰に椎体へかかってしまいつぶれてしまっている状態のことです。好発部位としては胸椎と腰椎の移行部TH11L2の範囲です。圧迫骨折は骨粗鬆症の高齢の方に多いイメージですが、しかし、高齢者だけしかならないというわけではありません。骨折なので急激な外力が骨に加わればもちろん骨折してしまいます。なので、若年者であってもスポーツ場面や高いところからの転落などによって圧力が加わり骨折してしまう場合もあります。

 

骨粗鬆症は女性に多いって聞いたけどなんで??

 

まず、圧迫骨折をされる方の多くは骨粗鬆症の既往がある方が多いです。これは、骨量が減少してしまい、骨密度が低下すると上下からの圧力に対して支えることができなくなってしまい椎体がつぶれてしまうからです。特に女性は生理的に骨粗鬆症になりやすいといえます。閉経後はエストロゲンというホルモンの分泌が減少します。注意したいのは、閉経直後に最も著しく減少するということです。このエストロゲンというホルモンは、間接的に破骨細胞の働きを抑制する役割を担っています。つまりエストロゲンが減少することで破骨細胞が活性化し、骨破壊が亢進してしまいます。その為、骨密度が減少します。これを高回転性の骨粗鬆症と呼びます。

じゃあ男性がぜんぜんないかといわれればそういうわけではありません。加齢に伴って、骨芽細胞の働きは減退します。その結果、骨の破壊が生成を上回り、相対的に骨密度が低下します。これを低回転性の骨粗鬆症と呼びます。近年の長寿社会に伴い、男性にも骨粗鬆症が増えています。

 

圧迫骨折ってどんな症状??

 

 圧迫骨折では、前兆のない急激な痛みで体動に伴って腰部へ痛みが出る場合があります。しかし、骨粗鬆症の方などでは、軽い痛み・無痛でいつのまにか骨折している場合もあります。骨折している場合、急性炎症が必ず起こります。急性炎症の期間は安静にしていても骨折部周囲にずきずきした痛みがあり、動作によって強くなります。また、温めることで痛みの増悪がみられます。この状態の時には、骨折の疑いが強く、コルセットによる骨折部の固定が必要になります。基本的には背骨周囲腰部の痛みがメインですが、腰椎の圧壊の具合によって神経根に刺激が入ってしまい下肢への症状が出現する場合があります。

 

慢性的に圧迫骨折の影響で痛みが出ることってあるの??

 MRIやレントゲンなどで骨折が明らかでも、炎症が慢性的に何年も続くことはありません。その場合は、骨折部が痛みを出しているわけではなく、圧迫骨折の影響で腰椎が後湾してしまうことで生じる不良姿勢であったり、筋肉のバランスが崩れてしまうことで筋肉の持続的な収縮によって痛みが出ていたり、持続的に伸張されることで生じている場合や関節面への過剰なストレスによって生じている可能性が高いです。この痛みに関しては骨折した当初のように安静にしていても改善はしません。また多くの方が、この痛みは後遺症だから付き合っていかなきゃと考えていますが、そんなことはありません。なぜなら、骨折や変形は運動によって改善することはできませんが、筋肉のバランスの乱れであればいくらでも改善していくことができるからです。特に、動いた方が楽だと感じている方やお風呂に入ると痛みが和らぐ方は腰痛と付き合っていく必要はありません。

 

じゃあどうすれば痛みを軽減できるの??

 

 圧迫骨折をされてコルセットによる固定や入院して安静にしていた方は、病院から体を反るような運動は禁止されていると思います。もちろん、炎症期間や骨折部のしっかりくっついていない間は行ってはいけません。しかし、骨折部も安定して、長期間痛みが続いている場合は反る運動を行わないことで痛みが出てしまっている場合があります。なぜなら、圧迫骨折によってただでさえ腰椎が後湾してしまうため、お腹側の筋肉や筋膜は短縮してしまいます。そうするとお腹側の筋肉でうまく支えることができなくなるため、背中側の筋肉でお腹側の分も支えるために力が入り常に負担がかかってしまいます。また、腰を反るのを禁止されているためにさらに後湾が強くなってしまい不良姿勢が強くなってきます。そうするとさらにお腹側の筋肉は短縮して・・・と悪循環が生じてしまいます。

 

セルフケアでできることはなに?

 

まずは、なるべく不良姿勢で座っている時間を減らすことです。あとは少し腰を反る時間を作ることです。

 

簡単に負担なくできる運動として、今回はpuppyポジションという姿勢をお伝えします。

 

①うつ伏せに寝ます

 

②両肘をついたまま体を起こします

 

③またうつ伏せに戻ります

 

 

最初はこれだけで充分です。伸展運動を全然やっていなかった場合急激にする運動をやり始めると痛みが強く出てしまう場合があるので注意しながら行いましょう。

 

*体を反っているときは痛みが出るが戻ったら痛みが出ないのであればそのまま続けて見ましょう。痛みが回数を重ねるごとに減ってくるのであれば回数を行いましょう。

反っているときに痛みが出て、うつ伏せに戻っても痛みが出てしまう場合は負荷が強すぎるか急激に反りすぎている・反る運動ではよくならない場合がありますので、無理に行わないでください。